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新型コロナ感染症の最初の波に前後して、学校は休業となり、感染を避けるため、外出自粛が始まりました。その結果、子ども達が外で遊ぶ姿が少なくなりました。その後、子ども達は、放課後や休日などに家で過ごす時間が長くなり、太陽光の下での屋外活動の機会が、少なくなったと言われています。
家で過ごすとなると、子ども達は何をするのでしょう。もちろん感染拡大が懸念されますので、友だちとは通学路でバイバイです。保護者は仕事で外出中のこともあるでしょう。学童保育もありますが、家に帰って「おうち時間」に過ごすことと言えば、スマートフォン、タブレット端末、ポータブルゲーム機などの端末を使い、SNSや動画視聴、ゲームなど、液晶画面とのお付き合い。それらの時間は以前よりも長くなりました。(図1)
このような日常生活の変化によって、外出する機会は減り、端末を見る時間『スクリーンタイム』が延長することで、端末を見る・使う、また端末に限らず、読書をする、書写などの「近業」の機会や時間が増えることになります。スクリーンタイムとは、テレビ、パソコン、タブレットやスマートフォン、そしてポータブルゲーム機など、画面の一日の使用時間をいいます。WHO世界保健機関は、子どもたちにとって適切なスクリーンタイムについて以下の基準を示しています。
というとても厳しい時間となっています。「スマホ育児」はおすすめできない状況です。では、スクリーンタイムの延長は、子どもたちにどのような影響を及ぼすのでしょう。
2021年のスポーツ庁の調査によると、小学生や中学生の男子女子ともに運動時間の減少やスクリーンタイムの延長があり、男子の方がより目立つ傾向にあります。さらに、スクリーンタイムが長いほど、体力が低下し、肥満傾向になるとの報告もあります。
令和4年度の国公私立全国学力・学習状況調査の結果によると、スマホやタブレットを使って、SNSや動画視聴を長時間続けるほど、学力テストの正答率が下がっています(図2)。
このように屋外に出ず、家などで過ごす時間が増えると、スマホやタブレットに触れる時間が増え、スクリーンタイムは延長し、運動不足や学業の成績に影響することになります。
実のところ、令和4年時点では、「スクリーンタイムの延長が、近視を進ませる」と、言いきるだけのエビデンスレベルの高い論文はほとんどないのが現状です。一方で、近視の影響因子が、教育であることは確かで、教育を受けるためには「近業」をせねばなりません。そして紙の教科書、プリントが中心だった昭和・平成と違い、令和の時代は、その「近業」に、「タブレット等の端末を見る・使う」が加わりました。
一人一台端末となったGIGAスクール構想に始まるICT教育の本格的な運用は、もう始まっています。ICT教育とは、各種デジタル端末やネットワークなど情報通信技術を活用する教育のことを指します。教育DX(デジタルトランスフォーメーション)のひとつであるデジタル教科書の使用も2024年頃から、オンライン学習の一環として、宿題や連絡帳は、子どもたちが持ち帰る端末を利用することが可能です。
そう、学校でも、家でも(主として公立の学校に通う)児童生徒の多くが端末のスクリーンを見て、勉強などをすることになります。
「学校の端末を見る・使う」+「屋外で遊ばずに家族や自分の端末を使い、つながる・遊ぶ・視聴する」=「スクリーンタイムの延長・近業の増加」
こういう式が成り立つのではないでしょうか。
赤ちゃんや乳幼児の頃から、子育て代わりに使っていたスマホやタブレット。近視が進むからと、突然取り上げても、泣くか怒るか、親のパソコンなどをこっそり見るかなどで、解決にはつながりません。だとすれば、「昼間に屋外で遊ぶ時間を増やす」が合理的です。子どもたちが楽しめる屋外活動が増えれば、学校の端末使用はそのままに、また屋外なので感染リスクは下がり、室内で過ごすよりも快適と言えましょう。
さて、日本眼科医会は、ICT教育が始まるなかで、子どもたちの目の健康について考える動画『進む近視をなんとかしよう大作戦』を、日本眼科医会YouTubeチャンネルで公開中です。
ダークヒーロー「近視マン」が、みんなを近視にして学校を支配しようとしています。この動画では、近視になるメカニズムのほか、近視になると、大人になってから緑内障や、網膜剥離、黄斑変性になる割合が、近視のない人たちと比べて高くなることにも触れています。
そして、進む近視をなんとかするために、近視マンに立ち向かうみんなは、3つの大作戦を用意します。そしてその結果はいかに…。続きはYoutubeで。ただし、画面と目の間は、30cm以上は離し、姿勢正しく見ましょう。