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「友達の蹴ったサッカーボールが目に当たった」「野球していて自打球を目に当てた」など、学校から連絡を受け、児童・生徒が眼科を受診することは珍しくありません。日本スポーツ振興センターによると、学校で起こる眼外傷の約7割が、このようなスポーツ眼外傷となっています。
そのほとんどを中学生と高校生が占め、原因の約8割が球技で、野球とサッカーが多いとされています。その多くは、数回の診察や加療で済み、視力も維持されますが、なかには視機能に障害を残す場合もあります。また、目を打撲しただけでよく見えるから眼科に行くこともなく心配ない、と早計に判断はせず、頭部の打撲と同じで、あとから様々な症状が出てくることがあり、目を打撲した場合には必ず眼科を受診することが大切です。
角膜びらん(黒目のキズ)、前房出血(角膜と虹彩の隙間に出血が溜まる)や外傷性虹彩炎、縮瞳不全(ケガをした瞳が、していない目と同じように縮まらない)などが生じて、目の痛み、流涙、充血、視力低下、まぶしさが強くなる、などがみられます。
網膜振とう症(網膜への衝撃の跡形→次第に消えていく)、網膜出血や硝子体出血、網膜剥離などが起きて、視力低下や視野欠損、かすんで見える、飛蚊症(蚊が飛んでいるように見える、すすが飛んでいるように見える)などがみられます。 これらの眼外傷がスポーツ眼外傷全体の約5~7割を占めます。このほか、目の周りを囲む骨が折れて、眼球運動に支障をきたして物が二重に見える眼窩底骨折、結膜の下に内出血を起こす結膜下出血などがあります。
もちろん、学校現場では児童・生徒同士で衝突したり、転倒したり、ケンカをしたり、さらには、実験などで薬品が目に入ったりなど、スポーツ以外でも眼外傷はおこることがあります。
何時に、どこで、どのように起こったか、を学校関係者やスポーツの指導者、保護者の方々は把握しておきましょう。目の痛みや、かすんで見えないか(打撲していない目をふさいで、指の数を示すなどして打撲した目の見え方を確認)、物が二重に見えないか、などを聞いてみます。打撲し腫れて目が開きにくい場合は、無理にこじ開ける必要はありません。ただし、実験などで強い酸性アルカリ性の液体や粉末が目に入った場合は、水道水でかまいませんので、すぐに大量の水で目を洗ってください。
いずれにしても、速やかに眼科を受診し、診察を受けましょう。眼外傷の程度によって、経過観察から点眼治療、まれではありますが重傷の場合には手術にいたることもあります。
いずれも偶発的に起こることがほとんどですので、あらかじめ予見することが難しいのが現状です。野球では、防護ネットの破れたところをこまめに補修する、ネットの配置を工夫するなど。いくつかの課外活動が運動場や体育館を使用するならば、時間差を設ける、日程を調整するなどの方法もあるでしょう。
それでも、眼外傷の危険性は残ります。では他に予防策はあるでしょうか。ひとつ考えられるのが、サッカー、ラグビー、バレーボールやバスケットボールなどで諸外国でも使用されているスポーツ保護眼鏡です。実際、日本サッカー協会は、審判員のためのガイドラインのなかで、その使用について寛容になるべき、としています。アメリカではプロバスケットボールなどで選手が装着しているほか、2019年の女子バレーボールワールドカップでは日本の選手が着用していました。
児童・生徒がスポーツ眼外傷により、視機能障害を残さない、あるいは重症化させないためにもスポーツ保護眼鏡は重要なアイテムと考えられます。
そこで一般財団法人 製品安全協会は、スポーツ用アイガード(まずは野球やソフトボールで使用可能)について、子どもの怪我を従来よりも抑えることが期待できる製品と考え、SGマークの認証を開始しました。2022年1月からは、一部メーカーより日本製アイガードが発売されております。
眼外傷は、スポーツによるものを含め、重症化すれば視機能障害を残すことがあり、これは子どもに限らず大人も同じです。
眼外傷ではケガをした本人のみならず、ケガをさせてしまった相手、両方の家族、そして学校関係者は、その心身に多大なストレスを抱えてしまうこともありえます。スポーツ眼外傷を少しでもなくす方向にいざなうためにも、保護眼鏡をはじめとする日本の安全基準に適合した保護具が近い将来充実することを願ってやみません。
それでも眼外傷が起きた場合には、「見えているから大丈夫。」と放っておかず、速やかに眼科を受診し、指示や治療を受けましょう。